迷子札に住所を書くべきか——書かずに連絡先を伝える方法
彫るというのは、道ですれ違う全員に見せると決めることです。住所を書かずに、その場で連絡してもらう方法を考えます。
迷子札を作るとき、ほとんどの方がここで手が止まります。住所を書くべきか。電話番号は書いていいのか。何も書かなければ意味がないのは分かっている。でも、書くのはこわい。
この迷いは正しいです。彫るというのは、道ですれ違う全員に見せると決めることだからです。
彫った情報は「常時公開」になる
紙に書いて封筒に入れるのとは違います。首輪に彫った文字は、散歩中ずっと外に出ています。すれ違った人、ドッグランで一緒になった人、しゃがんで撫でてくれた人。誰でも読めます。
住所を彫るというのは、次のことを引き受けるということです。
- その子と一緒にいる時間帯が分かる(=家にいない時間が分かる)
- 散歩コースと家が結び付く
- 子どもと一緒に歩いていれば、その子の家も分かる
起きる確率が高いと言いたいのではありません。ただ、起きたときに取り返しがつかない種類の情報です。名前とちがって、住所は変えられません。
かといって、何も書かないのも答えにならない
では白紙がいいかというと、それも困ります。拾ってくださった方の立場になると、はっきりします。
首輪はしている。つまり飼い犬だと分かる。でも連絡先がない。この人が取れる行動は、交番へ連れて行くか、保健所に電話するか、その場で待つか。どれも、あなたに繋がるまでに半日かかります。
拾ってくれた人を困らせないこと。これが迷子札のいちばんの仕事です。犬のためだけの道具ではありません。
落としどころは「見えない連絡先」
住所は書かない。でも連絡はつく。この両立のしかたは、いくつかあります。
- 電話番号だけを彫る。住所より特定されにくく、その場でかけてもらえる。ただし番号は変わりますし、番号自体も個人情報です
- マイクロチップの番号を彫る。番号だけでは何も分かりませんが、読めるのは施設だけなので、拾った人はやはり運ぶことになります
- QRコードを付ける。読むと連絡先ページが開く。ただし濡れ・傷・擦れに弱く、暗いところでは読めません
- NFCタグを付ける。スマホを近づけるとページが開く。カメラを起動する必要も、印刷面がきれいである必要もありません
NFCにした理由
私が首輪に入れているのは4番です。理由は単純で、表に文字が要らないからです。
首輪の外に出ているのは「かざしてください」という意味の絵だけ。名前も、住所も、電話番号も彫っていません。すれ違っただけの人には何も伝わりません。
拾ってくださった方がスマホをかざすと、そこで初めてページが開きます。そこに出す内容は、飼い主が自分で決められます。
- 電話をかけるボタンだけ出す
- SMSだけにする(電話に出られない時間帯がある方はこちら)
- 見つけた場所を送ってもらう
- 持病や、触られたくない場所を書いておく
住所は、そもそも入力する欄を作っていません。必要になるのは「迎えに行くとき」で、そのときは電話で話せば済むからです。
逆に、書いておいたほうがいいこと
住所と違って、外に出ても困らない情報もあります。むしろ、その場で読めたほうがいい。
- 名前(呼びかけてもらえると落ち着きます)
- 人が苦手/他の犬が苦手といった注意
- 持病、飲んでいる薬
- 「抱き上げないでください」など、その子固有のこと
これらはページ側に置いています。彫る文字とページの中身を分けておくと、こういう使い分けができます。
判断の基準はひとつ。すれ違った全員に見せていい情報か。見せていいなら彫っていい。迷ったら、彫らずにページの中へ。
最後に
こわいから何も書かない、が一番よくありません。こわいのは住所であって、連絡がつくこと自体ではないはずです。
その二つを分けられるように、私は首輪を作っています。
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